::Rainmaker Project:: レインメーカープロジェクト
 
「Rainmaker Project(レインメーカー・プロジェクト)」は世界の乾燥地を 「粘土団子」で緑化するとともに、砂漠化に苦しむ地域の住民達に同手法を指導し、地域住民の自立・自活にも役立てる目的で活動しているプロジェクトです。
ケニア共和国大使館デニスN.O.アウォリ特命全権大使と会談する
NPO法人横浜アートプロジェクト理事長 榎田竜路 (2006/03/08)
ケニアの状況
ケニアでは、この10年で国土の森林率は約15%から1.7%へと激減し、砂漠化が非常に深刻です。首都ナイロビでは3日に1日は断水という状況にあります。この深刻な事態のなか、2006年2月初旬にケニア政府より「3月から本プロジェクトを開始してほしい」という要望書が送られてきました。ケニアでは年に2回の雨期があり、3月はこのひとつにあたるためです。これは「雨期の方が緑化の効果が高い、一刻も早く有効な手段を講じたい」という現地の切実な願いの現れと言えましょう。私達は3月からのケニアでのプロジェクト実施のため、皆さんに募金等のご協力を呼びかけてきました。
 
アフリカに里山を

Rainmaker Projectは「粘土団子」という一種の播種法を用いた砂漠化に対抗するプロジェクトです。この粘土団子は自然農法の父と呼ばれる故福岡正信氏によって発案されました。数十種類から数百種類の種を粉状にした粘土に混ぜ、水を入れ、パンを作る要領でこねてから団子状にしていきます。一粒の粘土団子に二、三粒の種が入るように配分するのがコツです。
こうやって作られた粘土団子を乾燥した大地に蒔くと、その土地に合ったものだけが発根・発芽します。水も肥料も要りません。団子は球状なので、昼夜の温度 差で生まれる結露を集めて大地の接地面に溜めていきます。その水分を利用して種は根を出し、地下水のあるところまで根を伸ばします。また粘土団子は乾燥や 鳥や虫から種を守る役目も果たします。正に自然の力を活かしきった緑化法といえるものです。その上、必要なものは種と粘土と水だけなので誰でも作ることが 出来、コストパフォーマンスにも大変優れているのです。
多様な植物の種が粘土団子に入れられ蒔かれます。発芽した木や野菜などの植物はそれぞれが助け合うように成長していきます。多様な植物たちは助け合い、競 争し合いながら乾いた大地を潤していきます。大規模緑化も決して夢ではないのです。しかしこれで目出たし目出たしという訳にはいきません。人の暮らしがそ れを許さないからです。

ケニアでは都市の一部を除いて、ガスも電気も水道もありません。毎日の煮炊きには薪を使います。無計画に森を切り払い焼き畑を行っている地域もたくさんあります。
このままでは本当に森はあと十数年で消滅してしまうでしょう。
何故、こんなことになってしまったのか?

ある時、僕はナイロビで面白い経験をしました。現地のスタッフに「ケニアの伝統料理を食べたい」と頼んだところ、あるレストランに連れて行ってもら いました。そこで出された料理を見て僕は愕然としました。出てきた料理は「フィッシュ・アンド・チップス」つまりイギリス料理だったのです。よくよく尋ね るとケニアの人たちは100年前の自分たちの祖先が何を食べていたのか知らないのです。イギリスの植民地政策により記憶を抹消されてしまったのです。
イギリスの植民地になる前には当然、自然と暮らすためのたくさんの智恵があったはずなのです。それが完全に失われてしまった。僕はこれが砂漠化の原因のひ とつだと考えています。植民地化の本質はモノカルチャーの強制です。多様な植生を焼き払い一種類の作物(綿やバナナや紅茶といったものたち)だけを栽培す る。当然土地は痩せ、乾燥地化していく。

そういったことのつけが今、地球規模で突きつけられている。そこで僕なりに考えたのが自然と共生から生み出された「里山」というシステムをケニアに 再現できないかということでした。これは単なる緑化と違い、たくさんの課題があります。そもそも自然との共生ということをしっかりと伝え、実現していかな ければならない。生物多様性の「生物」の中に「人と文化」もしっかりと入れた形でプロジェクトをすすめていかなければ、この活動は失敗に終わるでしょう。
日本でも消滅しつつある「里山」という暮らしの智恵をどうケニアで展開していくのか?これが課題です。

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