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毎日新聞 2007年6月18日掲載

『地球と暮らす』特集 "「粘土団子」使い緑化 横浜アートプロジェクト"

 

■『地球と暮らす』

 植物の種子を交ぜた粘土を、女性や子どもたちが手のひらで団子状にまるめていく。昨年9月、
NPO「横浜アートプロジェクト」(神奈川県鎌倉市)の榎田竜路理事長(43)らが、ケニアの
農村で「粘土団子」の作り方を指導した。森林伐採や干ばつが進むケニアの森林面積は、国土の
わずか2%。日本発の自然農法で、砂漠化を食い止める壮大なプロジェクトだ。

 粘土団子は地面と接した部分に昼夜の温度差で結露が生じ、根が出やすい。女性たちがまいた
粘土団子は水や肥料を与えなくても発芽し、半年後には高さ約50センチに成長した。

 団子づくりから種まき、木々が成長する様子は、榎田さんの友人でフランス人映画監督、
マルク・リゴディスさんが撮影。同プロジェクトのウェブで一部を紹介しているほか、
今年10月に横浜市で開かれる第6回横濱学生映画祭でドキュメンタリー映画として上映する。

 音楽家である榎田さんが「北京電影学院」(中国)で客員教授を務める縁から、今年4月には
中国・河北省でも粘土団子による緑化計画が動き出した。

 榎田さんが横浜アートプロジェクトを設立したきっかけは7年前、小学校に招かれて開いた
即興演奏のワークショップだった。「自由にやってごらん」と言ったとたん、子どもたちは
キョロキョロと周囲を見回し、戸惑ったという。岡山県で高校3年生の男子生徒が金属バットで
母親を殴り殺すなど「17歳の凶行」が相次いでいたころのこと。「自由」に戸惑う子どもたち
を目の当たりにし、「子どもから多種多様な感覚を生み出す場をつくらなければ」と強く感じた
という。

 榎田さんは少年時代、夏休みを祖母のいる鹿児島県で過ごした。友だちと竹ざおを持って、
星を「釣り」に出かけた。本当に『星に当たった』と思う瞬間があった。その体験が今の子ども
たちには失われている」

 緑化計画は乾いた大地に雨を降らせたいとの思いを込めて「レインメーカー・プロジェクト」
と名付けた。「多種多様な生命が森を形成するように、多くの多様な感覚体験が人をつくる。
砂漠化した日本の子どもたちの心にも希望の雨を降らせたい」【記事・写真 足立旬子】