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< 2004/10/15 更新>

第2回ジャングルカフェ開催!
当日の模様をリポートします。

 午前十一時、中央ホール前で司会・ジェネラルマネージャーの宍野潤司さんから。

 ”子どもたちに力を!”という願いを込めた「Power to the kids!!」の言葉から、ジャングルカフェがスタートしました。

大人も子どもも一緒になって、
葦舟を作り上げたワークショップ。

 ジャングル・カフェと同時進行で行われた葦舟制作ワークショップ。大人と子ども、計18名が午前10時、山積みされた葦(あし)の束を手に取りました。葦舟制作の説明をするのはカムナ葦船プロジェクトの石川仁さん。

古代海洋民族の「海の道」を探ろうと、南米のティティカカ湖で刈った葦で造った帆船マタランギ2号で、三ヶ月かけてチリから約9000キロ離れた南太平洋・仏領マルケサス諸島まで航海するなど、数々の冒険で培った智慧と技術を持つ、いわば葦舟造りのエキスパート。

 葦の葉を空干ししただけの束を前に、はしゃぐ子供もいれば首をかしげる大人も。

「本当にこれで舟は出来るの?」

そんな思いを持ったまま、葦の葉を叩き、ならす作業から始まりました。

 葦を集めて、船底や船腹部分となる大きな束を2つ作り上げます。まずは仮の紐で縛る強さや幅を調整しながら、次第に舟の形を造り上げていきます。子ども達もスタッフの手さばきの見よう見まねで、積極的に葦舟造りに参加します。
”チョリソ”と呼ばれる束ねられた葦にまたがって遊ぶ子ども達。葦には独特の感触と心地良い弾力性があります。高価なおもちゃや遊具が無くても、子どもには何でも遊びにする力が備わっているようです。
「よいしょ! せーの、よいしょ!」

ワークショップ参加者全員が一丸となって、麻の縄で巻きながら、まとめた2つの葦束を、縛っていきます。

丸みを帯び、船首と船尾部分を反らせた、まるで生き物のような葦舟特有の形が姿を現すにつれ、みんなの掛け声も大きくなります。

最後に舟の側面の囲いとなる葦の束も取り付け、葦舟の形が出来上がりました。

 出来上がった葦舟に飛び乗り、揺すったり、寝転がったりしながら、はしゃぐ子ども達。楽しさや、喜びが自然と伝わってきます。

「まだ、これで完成ではありません」

ホール中央に運ばれた葦舟を参加者全員で取り囲むと、石川仁さんはこう言いました。

「葦舟には太古の昔から魂が宿るといわれています。空や風、太陽や水、大地を司る神々に感謝し、この舟を水で清め、名前をつけて、本当に葦舟は完成します」

石川仁さんが祈りの言葉を捧げ、葦舟に水が振りかけられた後、この舟に名前が付けられました。

「葦舟ジャングル号の完成です!」

古代メソポタミアから受け継がれて来た"儀式"が終了し、ジャングル号の完成を祝して、横浜アートプロジェクトの榎田竜路が率いる音楽ユニット 「真荷舟」による「ジャングルカフェ」という曲の演奏で、葦舟制作ワークショップは幕を閉じました。

今回も素敵なひと、話題が揃った
ジャングルカフェのレクチャー。

 ジャングルカフェ・メインスクリーンの前ではレクチャーが行われました。一体何が始まるのだろう、と思いながら席に座る人たち。ジャングルカフェのテーマにそって、色々な人が話を始めました。

 まずは横浜市金沢区で、子どものデザイン教室を主宰している浅葉和子さんから。

浅葉さんは1985年に起きた小学5年生の自殺をきっかけに、モノやお金、スピード重視の文明に疑問を持つようになったそうです。そこで、地球の原点を見つめる旅に出かけ、旅先のひとつ、国土の97%が砂漠というエジプトで、人々の貧しいなりの幸せや明るさに触れる事が出来たと語ります。

その体験から1989年には、日本とエジプトの子ども達の絵画の交流展を開催する為に奔走。大使館からの帰り道、普段は通らない裏道に小さなギャラリーを見つけ、立ち寄ってみると、そこでプランケットをかぶった女性が描かれた一枚の絵画に出会います。

その絵を見ると言葉に出来ない安らぎを覚え、浅葉さんはギャラリーのオーナーに尋ねました。そしてネイティブアメリカンが描いたものだったことをここで知りました。

「天から矢を射られた」 ネイティブアメリカン文化とアートセラピーを学ぶために、1991年に単身、渡米しました。

アメリカ先住民の北プエブロ族のアート委員会に飛び入りで出席。当初はよそものを受け入れなかった委員会メンバーも、浅葉さんが話す日本の社会問題や子ども達を取り巻く危機的な状況に熱心に耳を傾け、次第に心も打ち解けて、友人として受入れてくれたそうです。

いつしかプエブロ部族の小学校で造形指導を行なうまでになり、1993年には日本の子ども達30名と渡米、さらには北プエブロ族の子ども達を日本に招き、双方で絵画展の開催やホームステイなど、交流を深めて来ました。

「子ども達が私の先生」と“浅葉先生”は楽しそうに語り、最後に、「ネイティブアメリカンの文化は直線的ではなく、"円"を描いています。今日みなさんと出会ったのも、何かの"円(縁)"です。大きな希望を持って、出来る事をやりましょう。」という言葉で締めくくりました。

 環境カウンセラーの大内えりかさん。42歳で慶応大学環境情報学部に入学し、卒業後、地域、学校などで次世代のために美しい地球"海、川、山、森"を残したい、と啓発活動を行っています。

ゴミ処理の7割は税金で、3割は企業の負担で賄われていることや、世界のゴミ焼却炉の3分の2が日本にあり、焼却した灰の無害化の為に、ひとつの焼却炉につき年間3億円分もの薬品が投じられていること。

「たくさん作って、たくさん捨てたほうが生活が豊かになる」
という大量生産、大量消費の価値観からの脱却について話しました。

 イースター島文化大使のテバ・テアオ・アタンさん。世界遺産ともなった、モアイ像で有名なイースター島の二大王族である、ハナウ・エエペ族の王の末裔を母に、ハナウ・モモコ族の王の末裔を父に持つ家系で、イースター島でも中心的な存在の方です。ちなみに、イースター島とは他国の人が言っている名称で 島に住んでいる人たちは「ラパヌイ」と呼んでいます。

世界の7不思議ともいわれているモアイ像は、なぜ作られたのでしょうか?

モアイという言葉は、魂を行くべきところに連れて行く、導いてくれるという意味なのです。 家族が亡くなると、一族のモアイ像に目を入れ、魂を送り出すそうです。つまり、モアイは神ではなく、魂を行くべきところに導く為の媒介装置、タイムマシンのようなものなのです。

テバさんは、日本とイースター島の間にはいくつか不思議な共通性を感じていて、先祖は日本人ではないか、と考えています。

例えばイースター島の初代の王であるホトゥマトゥ王は、かつて大陸の「ヒバ」という所に住んでいて、ある日夢のお告げで移住を決めました。
(広島県には国生みの女神、伊邪那美命(いざなぎのみこと)の御陵のある峰として伝えられていて、ヒバゴンでも有名(?)な「比婆山」があります)

また、ラパヌイ語でテバさんのお父さんの名字は「ヒト」、名前は「ムラタ」で、日本語と同音なのです。他にも、「ヒ(=日、火)」、「アナ(=洞穴)」など、名前や名詞にも日本語にそのルーツを感じさせるものがいくつかあるとの事。

日本人の祖先はポリネシアからアメリカ大陸まで何度も海を渡っていたという学説があります。黒潮がぶつかる高知の足摺岬には南米の古代文化に似た巨石の遺跡群もあります。

テバさんは、「環太平洋はひとつの兄弟であり、海を隔てて共通の文化がある」と考えています。それを立証する為に、カムナ葦船プロジェクトの石川仁さんらと共に、日本から米国まで葦舟で太平洋を横断することに意味を感じ、支援を呼びかける為に日本の各地を回っています。

 レクチャーの最後は、横浜アートプロジェクト理事長、榎田竜路による「ケダモノのすすめ」。

なぜケダモノか? ケダモノは命のままに生きている。「素のまま=野生」で生きて行こう、ということ。

現代社会で子ども達から野生を奪っているものは、学校の知識優先の教育であり、経済優先の家庭にある。そもそも人間の身体も野生が基本であり、野生を忌むべきものでは無い。ふだんの生活の中で胸がスーッとするもの、その中に野生を呼び覚ますヒントが隠されていると、榎田竜路はいいます。

 

「お日様を感じる暮らしをしてみよう」
「風を感じる暮らしをしてみよう」
「身体が満足する暮らしをしてみよう」

「満ちる」という言葉がありますが、これは他者との比較ではなく、自分の中心から生まれて来る「これが自分だ」と感じる状態のこと。

「今の子ども達は押さえつけられて自信を無くしている。それは、親が何をするにも"ダメ!ダメ!"と、子どもの自由な(野生的な)行動を封じてしまうことで、不安を与えていることに起因しているのではないか。そのアンチテーゼとして、ジャングルカフェを続けて行きたい」という熱いメッセージで、レクチャーは終了しました。

これからの生き方のヒントに触れる、
ジャングルカフェのブース達。
「おいしい、たのしい、ここちよい」"わかなぱん"は今回ジャングルカフェで大活躍。売っているパンも今回のテーマに合わせて、色々な素材で普段見た事のないものばかり。

玄米のキッシュや豆のスコーンといった変わったパンは「オーガニック」の言葉に合わせた食べ物。木製で出来たお皿に乗せると、なぜかあたたかい気分になります。葦舟制作に参加した大人も子どもも、休憩時間にフルーツジュースで一息ついていました。
ジャングルカフェのレクチャーでもお話していただいた、大内えりかさんは、古着のセーターなどで自ら作った再生衣料を展示・販売。興味深々の参加者に、ここでも作り方をやさしく丁寧にレクチャーしてくださいました。
麻と綿をテーマに衣装をデザインするのは第一回ジャングルカフェから参加のルナティカナパ・丸山恵子さん。手作りで独特な染料を使った衣服には、既製品には無い、野趣で力強い雰囲気を感じました。

横浜にLRT(ライトレールトランジット)を走らせる会。LRTを作る会のメンバーによる映像をモニタで展示。

都市交通問題等の改善のきっかけをつくるため中心市街地にクルマの休日を設ようという「横浜カーフリーデー実行委員会」との共同出展で、これからの都市交通のあり方について問いかけました。

今回もおんらくラボのひょうたんスピーカーが大活躍。

虫の音や動物たちの声、水や風の音などが流れ、都会の中に出現したジャングルの演出に、一役買ってくれました。


 また、ジャングルカフェ開催中にはこんな飛び入り参加も。 スマイルフリースクール のみなさんです。

”スマイルフリースクール”とはろうの大人が行なっている、ろう児のための団体です。今日ここでジャングルカフェが行われると知って駆けつけて下さいました。

早速ステージへ登ると、手話が分からない人でも見て楽しめるようにと、子どもたちが考えた、ショートコントやクイズを行いました。緊張しながらもステージの上で一生懸命。

「毎月1〜2回宿泊授業を設け、いろんな体験を通して子どもたちが成長していくお手伝いをしています」

そんな子ども達にジャングル・カフェがどのように映ったのでしょうか? みんなが暖かくなる「Kids」達の飛び入りでした。

都会のジャングルにも夜が訪れ、雰囲気が一変。
ライヴパフォーマンス「闇の愉しみ」。

「静」 (陰、受身的、思考的、精神的)
「動」
(陽、能動的、官能的、肉体的)

 闇の愉しみを知っていますか?

その言葉が聞こえて昼間の賑やかさは一変、BankArt1929の照明が落とされました。

 昼間、ただそこにあったはずの竹が光を帯びながら暗闇に浮かび上がります。並べられた椅子に座っている観客も、さっきまで動き回っていたスタッフも、みんな闇の中。ジャングルカフェのみんなは、声はどこへ――そんな時、ホール中央に光が灯されると、暗闇の中で葦舟がそっと浮かんでいました。

「旅するときは風にのる   理由はいつも後からついてくる 」

葦舟の上に、一人腰をかけると、顔を照らし出します。

「何も見えない、何も聞こえない」

そんな闇の中で、光を受ける葦舟。響き渡る音楽が重なって、会場はいつの間にか別の世界に変わっていました。

背後のスクリーンに映し出されたのは一枚の神殿の絵、ここはもう、インドの国です。スクリーンの上に青白い光が浮かぶと、その中から一人の女性が浮かび上がってきます。

その女の人は白い布に身をくるみ、ガラス越しにこちらを見て、ゆらり、ゆらり。一体彼女は何なんだろう、そう思っていると葦舟の上にそっと腰をかけていました。

暗闇の中でうっすらと浮かぶ葦舟と遙か異国の語りを続ける一人の男。光を身体に受け、流れる様に舞う小さな踊り手。こうしてジャングルナイトは始まりました。


 昼間のジャングルカフェどころか、ここが横浜の真ん中で建物の中だという事さえ忘れてしまうほどに、雰囲気が一変しました。冒険家・石川仁さんの口から語られる話はすべて世界中を旅する中で実際に体験した話。その語りから湧き出るインスピレーションを即興で自分の身体を通し、踊りに代えて表現するダンスパフォーマー、岡さわかさん。

 二人の背後にアフリカのサバンナ、南極の氷、永遠と続くサハラ砂漠と写しだされると、椅子に座って観ているはずの観客さえ、この広大な冒険の話の世界の中にいつの間にか入り込んでいました。昼間のジャングルカフェで、様々な人の手で作られ、命を与えられた葦舟の上で繰り広げられた一つの世界。

 「僕は、私は、この葦舟乗っている。そして海を、渡ったんだ」

 この場にいる、誰もがこの冒険談の中で男の冒険と葦舟の航海をしっかりと見ていました。

 幻想的な照明と踊り、鈴木キヨシさん、真荷舟による演奏も加わり、観客は異次元の空間へと誘われて行くようでした。

 

 ”子ども達に力を!” ジャングルの中で太鼓と虫の音、命を宿した葦舟、走り回る子どもの声──『智慧の舟』。

 ”闇の愉しみ” 昔、確かに知っていて、いつの間にか忘れてしまった闇の色、そして聞こえた、闇の声──『智慧の言葉』。

 「Power to the kids──」と誰かが言って、子どもが笑い、大人が子どもに戻った、今日この一日。

 暗闇の中から宍野さんが出てくると、観客、出演者、スタッフ、会場にいる全ての人達を見ながらこう言いました。

「第2回ジャングル・カフェ、これにて閉会です!」


 



──ジャングル・カフェ 智慧の舟

司会・進行 宍野潤司


《パフォーマンス》
シャーナン・とし(うた、ウクレレ)
海老原美恵(歌、ギター)
松山雅一(三線、ギター)

スマイルフリースクールのみなさん

《レクチャー》
浅葉和子 / 浅葉デザイン教室主宰
大内えりか / 環境カウンセラー
石川仁 / 冒険家、カムナ葦舟プロジェクト主宰
テバ・テアオ・アタン / イースター島文化大使
榎田竜路 / 横浜アートプロジェクト理事長・音楽家



──ジャングル・ナイト 智慧の言葉

《智慧の言葉》
岡さわか / ダンスパフォーマンス
石川仁 / 語り
鈴木キヨシ / ベースカリンバ、ジャンベetc.
阿部拓也 / パーカッション
榎田竜路 / ギター、ヴォイス
宍野潤司 / ベース


照明/村上正雄 
PA/田宮ガク
美術/浅葉和子
撮影/友宗保夫
舞台監督/柴田祥


《出展》
わかなぱん(レストランオーガナイズ)
Lunaticanapa
生活音楽研究所 おんらくラボ
横浜にLRTを走らせる会
横浜カーフリーデー実行委員会
松山・衣服販売


《横浜アートプロジェクト Jungle Ca'fe 制作 STAFF》
鈴木雅枝
榎田智子 小原照美 小原誠
香川竜太 福井恵理 堀内健一

《Special Thanks ボランティアスタッフ》
秋山勇次 佐藤賢司 鈴木ようこ
深田晃司 真山俊作
浅葉デザイン教室 ASSISTANT



ジャングルカフェジェネラルマネージャー
宍野潤司


協賛

ビステオン・ジャパン株式会社

協力
BankART1929

共催
横浜市中区役所


主催
特定非営利活動法人 横浜アートプロジェクト

 

ジャングルレポート/香川竜太